頸椎、胸椎、腰椎において、椎間関節面の方向から、形態的な差はあるが、同じような痛みを発生しやすい構造になっている。ぎっくり腰の多くも椎間関節に起因するといわれている。急性にも、慢性にも発生する症候群である。

主な症状

椎間関節に由来する腰痛である。
腰痛、臀部痛、時には下肢痛および下肢のしびれ感を伴う。
同一姿勢で悪化し、軽く姿勢を変えるなどで軽減する。
朝起床時に痛みを訴えることが多く、動いているうちに痛みは軽減する。
羅患の後屈により疼痛が増強することが多い。
羅患関節近傍に圧痛がある。
羅患関節に一致した圧痛と腰臀部への関連痛、後屈制限、体動時痛(椅子から立ち上がりなど)がある。

発生原因

腰椎椎間関節は、後方脊椎支持組織として働く潤滑関節であり、特に脊椎の運動時に可動域が大きく、そのために変形性関節症性変化をきたしやすく、腰椎後位屈を強くすると、椎間関節が拡大し、関節包が緊張し、内圧が亢進する。この部位に対し様々な方向から力がかかり続けると、椎間関節包の肥厚や弛緩が起こり、それらの一部が関節間に入り込んだりする。さらに滑膜炎症や関節軟骨の変性性変化により、主として腰背部傍脊柱筋に一致した激痛や筋硬直を発症する。
痛みのある側と対側に疼痛性側湾が生じ、時には下肢筋群の異常緊張を生じることから、腰神経根障害、腰椎椎間板ヘルニアとの鑑別に注意する必要がある。関節性変化が始まると、運動開始時に再現性のある疼痛が発生する。

 

治療方法について

椎間関節ブロックを行なう。
頸椎および腰椎の椎間関節由来の痛みは、画像診断で診断するのは困難である。
椎間関節ブロックは、診断的神経ブロックと治療的神経ブロックの両方の目的で行われる。局所麻酔薬を注入して、痛みが消失する椎間関節のレベルを決定する。有効な部位が決定されれば、ブロックする。
後枝内側枝のブロックは、後枝内側枝高周波熱凝固法(facet rhizotomy)も行われる。

・腰神経根障害、腰椎椎間板ヘルニアの症状を抽出する。

腰神経根障害

片側性かつ限局性の放散痛、しびれ感を伴う感覚鈍麻、脱力などを主徴とする。
疼痛は傷害を受けた神経根レベルの皮膚分節にほぼ一致しており、障害部位診断の手がかりとなる。
安静臥床によっても軽快せず、咳、排便時のいきみなど、脊柱管内圧を上昇させるような原因で増強する。
疼痛部位と一致して感覚過敏をみとめることがあるが、神経痛と異なり、圧痛点はない。
神経根の伸展で疼痛を起こすラセーグ徴候が陽性になることが多い。

腰椎椎間板ヘルニア

後方あるいは後側方に突・脱出したヘルニアは、神経根や馬尾(および後縦靱帯を支配する椎骨洞神経と交感神経交通枝)を圧迫する。
神経根の圧迫は腰痛ではなくむしろ殿部や下肢の坐骨神経痛(放散痛)を引き起こす。
腰椎では脊髄がL2で終わりそれ以下は馬尾となっている。
多くは、L2~S1の領域の神経根症状であるが、脊髄症状も現れる(馬尾症候群)。
腰部椎間板の大きな正中ヘルニアによって馬尾全体が圧迫される。