四十肩・五十肩とは、肩の痛みと運動制限をきたす疾患です。
従来は腱板損傷や石灰沈着性腱板炎なども含めて五十肩と呼んでいたが、近年では原因のあきらかな疾患は五十肩に含めません。すなわち、肩に疼痛（痛み）と運動障害がある、患者の年齢が40歳以降である、明らかな原因がないという3条件を満たすものを四十肩・五十肩と呼びます。
症状は最初に肩関節付近に鈍痛がおこり、腕の可動範囲の制限が起こります。
次第に痛みは鋭いものになり、急に腕を動かす場合などに激痛が走るようになります。
痛みのために、腕を直角以上に上げられなくなったり、後ろへはほとんど動かせないなどの運動障害が起こります。
後に生活にも支障をきたすようになり、重症化すると、洗髪、髪をとかす、歯磨き、炊事、洗濯物を干す、電車のつり革につかまる、洋服を着る、寝返りを打つ、排便後の尻の始末などが不自由となり、日常生活に大きな困難をもたらす場合があります。
軽症で済むか重症化するかの仕組みもはっきりしていません。
痛みは片方の肩だけの場合と、一方の肩が発症してしばらく経つともう片方の肩にも発症してしまう場合とがありますが、片方の肩が発症してしまうともう一方も発症する確率が高いく、またこれを防止することは難しく、痛みのピーク時には肩の痛みに加えて、腕全体にだるさや痺れがあることもあります。常に腕をさすっていないと我慢できない、と訴える患者もいます。
初期の症状が始まってからピークを迎えるまで数ヶ月を要し、ピークは数週間続き次第に和らいでくる傾向があります。
痛みのレベルにもよりますが、鋭い痛みが感じられなくなるまでに半年前後、さらにボールなど物を投げられるようになるまでには1年前後かかります。腕の可動範囲を発症前の状態までに戻せるかどうかは、痛みが緩和した後のリハビリ次第ですが、多くの場合発症前の状態には戻りにくい傾向があります。
治療は炎症期（初期の疼痛が強時期）は肩を無理に動かすことを避け、肩の保温を図ります。
拘縮期（拘縮が完成する時期）には温熱療法を行います。
また、症状にあわせてストレッチやコッドマン体操（アイロン体操）を行います。
拘縮が和らいできたら肩の運動を徐々に増やしていきます。
四十肩・五十肩は、腰痛、外傷性頸部症候群などとともに健康保険で鍼治療が受けられる6つの疾患の一つで他に神経痛、リウマチ、頸肩腕症候群、頸椎捻挫後遺症があります。
